従業員が競合会社で副業している疑いがあるときは?確認方法と会社が取るべき対応

2026/08/25

従業員が競合会社で副業している疑いがあるときは?確認方法と会社が取るべき対応

従業員が競合会社で副業している疑いがあるときは、まず事実を一つずつ確認することが大切です。

就業規則や副業届、公開情報、社内記録を確認し、必要があれば本人からも仕事内容や勤務状況を聞き取ります。

競合会社で働いているだけで、すぐに問題になるとは限りません。

自社の情報を使っていないか、本業に影響が出ていないかまで確認する必要があります。

この記事では、副業の確認方法から問題となる基準、判明後の対応、社内でできる対策まで順に紹介します。

従業員の競合会社での副業を疑ったら?

副業はどこまで認められる?

勤務時間外をどのように使うかは、基本的には労働者本人の自由と考えられており、会社が副業を一律に禁止できるとは限りません。

一方で、長時間労働によって本業に支障が出る場合や、企業秘密の漏洩、競業による利益侵害のおそれがある場合は、禁止や制限を検討できることがあります。

そのため、自社の就業規則に「副業禁止」と書かれているかだけでなく、どのような条件で制限する規定になっているかを確認することが大切です。

許可制や届出制を設けている場合は、申請の対象、副業先や業務内容の申告範囲、禁止できる条件まで確認しておきましょう。

また、副業には他社との雇用契約だけでなく、業務委託や請負、自ら事業を行う形態なども含まれる場合があります。

競合する企業で働いている可能性があるときは、「副業をしている事実」と「その行為が自社の規定や義務に抵触するか」を分けて考える必要があります。

まずは就業規則や雇用契約、秘密保持に関する規定を整理し、自社で認めている範囲を明確にすることが適切な対応につながります。

競合会社での副業が問題になる理由

同じ市場で事業を行う企業に関わっている場合、自社で得た情報や人脈、知識が他社の業務に利用される可能性があります。

ただし、勤務先と業種が重なっているという理由だけで、問題のある副業と決めつけるのは適切ではありません。

確認したいのは、副業先の事業内容や担当業務、自社との取引関係などを踏まえ、具体的な利益の衝突が生じているかどうかです。

たとえば、自社の顧客情報や価格設定、営業計画、技術情報を競合先で利用していれば、秘密保持や競業の観点から慎重な対応が求められます。

自社と競合会社の双方で同じ顧客に営業している場合も、自社の利益に影響する可能性があるため注意が必要です。

さらに、副業による疲労で遅刻や欠勤が増えるなど、本業への支障が見られる場合は、労務管理や健康管理の面からも確認する必要があります。

反対に、自社情報を扱わず、本業への影響もないケースも考えられるため、会社側は副業先の名前だけで判断せず、実際の行為と影響を確認することが重要です。

会社が調べられる範囲

事実関係を確かめる際は、業務上の必要性があり、会社が適法に確認できる情報から順番に調べるのが基本です。

就業規則や副業届、本人が提出した申請書類のほか、自社が管理する勤怠記録や業務記録などが主な確認対象になります。

競合会社の公式サイトや一般公開されているプロフィールなど、誰でも閲覧できる情報を調べる方法もあります。

ただし、氏名が一致しただけでは本人と断定できないため、勤務先や経歴など複数の情報を照らし合わせなければなりません。

会社が管理する端末やシステムを確認する場合も、調査目的や社内規程、従業員への周知内容を踏まえ、必要な範囲に絞ることが大切です。

本人所有のスマートフォンやパソコン、私用メール、非公開のSNSアカウントなどへ無断でアクセスする方法は避ける必要があります。

社内資料や公開情報だけで判断できない場合は、調査範囲をむやみに広げず、本人への聞き取りや専門家への相談を検討しましょう。

目的を「副業を暴くこと」ではなく、「自社の規定や利益に関わる事実を確認すること」と定めておくと、過度な情報収集を防ぎやすくなります。

調査前の注意点

疑わしい情報が入ったとしても、すぐに本人への処分や詳細な調査へ進むのではなく、まず確認できている事実を整理することが大切です。

同僚からの話やSNSの投稿、取引先からの情報は手がかりになりますが、それだけで副業の事実が確定するとは限りません。

「いつ、誰から、どのような情報を得たのか」「客観的な資料があるか」を分けて記録し、推測と事実を混同しないようにしましょう。

そのうえで、就業規則や雇用契約、副業の届出制度、秘密保持規定を確認し、どのルールが問題になり得るのかを整理します。

「無許可だった」「競合企業だった」という一点だけで判断せず、規定の内容と実際の業務や自社への影響を照らし合わせることが欠かせません。

調査を行う場合も、確認したい事実と必要な情報を事前に決め、目的と関係のない私生活まで対象を広げないことが重要です。

本人の説明を聞く前から違反と決めつけると、事実確認が不十分なまま人事判断へ進むおそれがあります。

懲戒処分や解雇まで検討する可能性がある場合は、調査方法や規定の適用に問題がないか、労働問題に詳しい弁護士などへ相談すると判断しやすくなります。

競合会社での副業を確認する方法

就業規則を確認する

事実確認を始める前に、自社で副業をどのように扱っているのかを整理しておく必要があります。

就業規則を確認し、副業が許可制・届出制のどちらなのか、禁止または制限できる条件が定められているかを見ておきましょう。

特に確認したいのは、競合する企業での就労、秘密情報の利用、本業への支障などに関する規定です。

競業に関する定めがある場合は、どのような業種や業務を対象としているのかまで確認します。

規定が抽象的であれば、「競合会社で働いている」という事実だけで違反と判断するのは避けたほうがよいでしょう。

雇用契約書や秘密保持に関する誓約書など、就業規則以外の書類に関連する条件が記載されているケースもあります。

まず適用されるルールを把握しておくことで、その後に集めるべき情報や本人へ確認する内容を絞り込みやすくなります。

副業届を確認する

社内に申告制度がある場合は、本人から過去に提出された副業届や申請書を確認します。

副業先の名称だけでなく、業種や仕事内容、契約形態、勤務予定など、申告されている内容を一つずつ見ていきましょう。

以前は別の勤務先を届け出ていたものの、その後に変更されている可能性もあるため、提出日や更新履歴にも注意が必要です。

競合会社の名称が記載されていなくても、業務内容から自社と競合する可能性が見えてくるケースがあります。

反対に、届出が見当たらないからといって、直ちに無断で副業していると判断することはできません。

申請が不要な働き方として認識していたり、社内手続きを本人が誤解していたりする可能性も考えられます。

副業届は事実を確定する資料ではなく、本人の申告内容と現在把握している情報を照らし合わせるための材料として扱いましょう。

公開情報を調べる

社内資料だけでは確認できない場合、インターネット上で一般に公開されている情報が手がかりになることがあります。

競合会社の公式サイトや公開されているSNS、職歴プロフィールなどを確認し、従業員との関係を示す情報がないか調べます。

たとえば、スタッフ紹介やイベント登壇者、制作実績などに氏名や経歴が掲載されているケースが考えられます。

ただし、過去の勤務歴が残っているだけの場合や、同姓同名の別人である可能性もあるため、一つの情報だけで判断してはいけません。

氏名、経歴、担当分野、掲載時期など複数の要素が一致しているかを確認すると、情報の取り違えを防ぎやすくなります。

非公開情報を無理に取得したり、他人になりすまして本人へ接触したりする必要はありません。

公開情報はあくまで聞き取り前の材料として整理し、確証が得られない部分は本人への確認につなげるのが適切です。

社内記録を確認する

本業への影響や情報持ち出しが懸念される場合は、会社が適切に管理している社内記録も確認材料になります。

勤怠記録から遅刻や欠勤の増加を確認したり、業務上の必要に応じて社内システムの利用状況を調べたりする方法が考えられます。

情報漏洩が疑われる事情があれば、不自然なファイル閲覧や大量のデータ取得などが発生していないかを見ることもあります。

ただし、単に勤務時間外のアクセスがあったというだけで、副業や情報持ち出しにつなげて考えるのは早計です。

通常業務との違いやアクセスした資料の内容、発生した時期などを照らし合わせ、客観的に確認する必要があります。

調査対象は業務上必要な範囲に絞り、社内規程や情報管理のルールに沿って進めることも欠かせません。

記録から分かる事実と推測を分けて整理しておくと、本人への聞き取りでも確認すべき点を明確にできます。

本人に確認する

一定の情報が集まった段階では、本人から直接説明を聞くことが重要です。

最初から違反を前提に問い詰めるのではなく、副業の有無や勤務先、仕事内容などを順番に確認していきます。

公開情報などがある場合も、「この情報を確認した」と事実を示しながら説明を求めるほうが、話が食い違いにくくなります。

本人から申告漏れを認める説明があったとしても、それだけで直ちに重い処分を決めるのではなく、理由や経緯まで聞いておきましょう。

競合会社との関係が確認された場合は、担当業務や稼働時間、自社の顧客・情報を利用していないかも確認が必要です。

聞き取りの内容は後から認識の違いが生じないよう、日時や参加者、主な説明を記録しておくと安心です。

本人の説明と社内資料、公開情報を照らし合わせることで、副業の事実だけでなく、自社への影響まで判断しやすくなります。

公開情報から副業の手がかりを探す方法

競合会社の公式サイトを調べる

副業先として疑われる企業がある場合は、まず公式サイトで一般公開されている情報を確認します。

スタッフ紹介や採用情報、事業実績、イベント告知などに、従業員の氏名や経歴が掲載されていることがあります。

名前が見つかったときは、所属先として現在掲載されているのか、過去の記事や実績として残っているだけなのかを確認しましょう。

顔写真や担当分野、経歴なども一致していれば本人である可能性は高まりますが、一つの情報だけで断定するのは避ける必要があります。

業務委託や外部パートナーとして紹介されている場合もあるため、掲載のされ方から雇用関係まで推測しないことが大切です。

確認したページはURLや閲覧日、掲載内容を記録しておくと、その後の聞き取りや社内確認で整理しやすくなります。

公式情報から分かる範囲を事実として押さえ、それ以上の関係性は別の資料や本人の説明と照らし合わせましょう。

SNSを調べる

一般公開されているSNSには、仕事に関する投稿や活動履歴が残っている場合があります。

勤務先として競合会社を記載していたり、業務への参加やイベント出席を投稿していたりすれば、関係を確認する手がかりになります。

見るべきなのは投稿の一部分ではなく、投稿日や内容、継続性などを含めた全体の流れです。

たとえば、一度だけ競合会社のイベントに参加しているだけなら、取引や知人関係による可能性もあり、副業とは限りません。

一方で、継続して業務内容を紹介していたり、自身の仕事として明記していたりする場合は、本人へ確認する材料になります。

非公開アカウントへの不正なアクセスや、虚偽のアカウントを使った接触などは行わず、誰でも確認できる範囲にとどめましょう。

SNS上の情報は削除や変更もあり得るため、それだけで結論を出さず、他の情報と組み合わせて判断することが重要です。

職歴プロフィールを調べる

仕事上の経歴を公開するプロフィールサービスなどには、現在の所属先や担当業務が記載されていることがあります。

競合会社の名称が掲載されている場合は、開始時期や役割、雇用形態に関する記載まで確認してみましょう。

ただし、プロフィールは本人が任意で更新するものが多く、現在の状況と一致しているとは限りません。

古い職歴が残っているケースや、取引先とのプロジェクト経験を所属先のように記載しているケースも考えられます。

そのため、在籍期間や仕事内容、自社での勤務時期と重なっているかを整理し、矛盾がないかを見ることが大切です。

プロフィール上の記載だけで無許可の副業と決めつけず、あくまで本人へ確認するための情報として扱いましょう。

公式サイトやSNSなど別の公開情報とも一致していれば、聞き取りで確認すべき点をより具体的にできます。

氏名で検索する

副業先が特定できていない場合は、従業員の氏名を検索して公開情報を探す方法もあります。

氏名だけでは同姓同名の情報が多数表示されることがあるため、業種や職種、地域、勤務先などを組み合わせると絞り込みやすくなります。

検索結果には、企業サイトのほか、セミナーの登壇歴、制作実績、寄稿記事など仕事に関する情報が出てくることがあります。

ただし、氏名や職種が一致していても別人である可能性は残るため、本人確認につながる複数の要素があるかを見てください。

また、古い検索結果や第三者が作成したページには、現在とは異なる情報が掲載されている場合もあります。

検索で見つけた内容は情報源と掲載時期を確認し、出所が不明な書き込みや噂は事実として扱わないことが重要です。

本人と結び付く確かな材料が得られなければ、深追いせず、社内資料や聞き取りによる確認へ切り替えるほうが安全です。

本人への聞き取りで確認すること

副業先を確認する

聞き取りでは、まず現在ほかの企業や事業者から仕事を受けているかを確認します。

副業をしている場合は、勤務先や取引先の名称、業種、契約形態などを具体的に聞きましょう。

競合会社との関係が疑われていても、最初から会社名を挙げて追及するより、本人の説明を順番に確認するほうが事実関係を整理しやすくなります。

業務委託や個人事業として仕事をしているケースもあるため、「雇われているか」だけで判断しないことが大切です。

また、現在は関係がなく、過去の仕事や一時的な案件だった可能性もあります。

本人の説明と副業届、公開情報などに違いがある場合は、その理由や時期について追加で確認します。

副業先の名称だけで結論を出さず、実際の関わり方まで把握することが適切な判断につながります。

業務内容を確認する

競合会社との関係が分かったら、本人がどのような仕事を担当しているのかを確認します。

自社と同じ業務に従事しているのか、それとも直接競合しない分野を担当しているのかで、リスクの程度は変わります。

たとえば、自社と同じ顧客層への営業や商品企画に関わっている場合は、利益相反や競業の観点から慎重な確認が必要です。

一方で、競合企業に関わっていても、自社とは異なる業務を担当し、機密情報に触れていないケースもあります。

仕事内容だけでなく、担当する顧客や地域、扱う商品・サービスの範囲まで聞くと、競合関係を判断しやすくなります。

本人の説明が抽象的な場合は、「具体的にどのような作業をしているか」と事実ベースで聞き直しましょう。

重要なのは、副業先そのものではなく、実際の業務が自社の利益や情報管理に影響しているかを見極めることです。

稼働時間を確認する

副業の事実だけでなく、いつ、どの程度働いているのかも確認しておきたいポイントです。

平日の勤務後や休日など、副業に充てている時間帯とおおよその頻度を本人から聞き取ります。

長時間の副業が続いている場合は、疲労による遅刻や欠勤、集中力の低下など、本業への影響がないかも併せて確認しましょう。

自社の就業時間中に副業へ対応していた疑いがある場合は、勤怠記録や業務記録との整合性を見る必要があります。

ただし、勤務時間外に副業をしているというだけで、直ちに問題と判断するのは適切ではありません。

本人の健康状態や本業への支障、会社のルールなどを踏まえ、具体的な影響が出ているかを確認することが重要です。

聞き取った稼働時間は、今後の労務管理や副業ルールの見直しにも活用できます。

自社情報の利用を確認する

競合会社での副業では、自社で得た情報が外部の業務に使われていないかを慎重に確認する必要があります。

顧客情報や価格、営業資料、技術情報、取引条件などを副業先へ提供していないか、具体的に聞き取りましょう。

自社のパソコンやメール、クラウドサービスを副業に利用していないかも確認対象になります。

本人に悪意がなくても、自社で作成した資料やノウハウをそのまま持ち込んでいるケースは考えられます。

情報の持ち出しが疑われる場合は、本人の説明だけで判断せず、社内のアクセス記録やファイル利用履歴など、適切に取得できる資料と照らし合わせることが大切です。

一方で、一般的な経験や知識まで企業秘密として扱えるとは限らないため、何を問題とするのかを明確にする必要があります。

具体的な情報利用の有無を確認することで、単なる副業なのか、自社への実害につながる問題なのかを切り分けやすくなります。

競合会社での副業が問題になる基準

競業避止義務への抵触

問題になるかどうかは、副業先が同業者かという点だけでなく、実際に自社と競合する行為をしているかで判断する必要があります。

在職中の労働者には、一般に使用者と競合する業務を行わない競業避止義務があると考えられています。

たとえば、自社と同じ顧客へ営業したり、競合する商品やサービスの企画に携わったりしている場合は、自社の利益に影響する可能性があります。

反対に、競合会社に在籍していても、自社とは異なる分野を担当し、具体的な利益侵害が認められないケースも考えられます。

厚生労働省のモデル就業規則でも、「競業により、企業の利益を害する場合」は副業を禁止または制限できる例として示されています。

そのため、会社名や業種だけで判断せず、担当業務や顧客、取引内容などを確認し、どのような競合関係が生じているのかを具体的に整理することが大切です。

就業規則に競業に関する規定がある場合は、その対象範囲と本人の行為を照らし合わせて判断しましょう。

秘密保持義務への抵触

競合会社で働くケースでは、自社の業務上の秘密が外部で利用されていないかも重要な確認事項です。

労働者には業務上の秘密を守る義務があり、副業先へ秘密情報を漏洩する行為は問題となり得ます。

顧客情報や価格設定、取引条件、営業計画、技術情報などを競合先へ伝えていれば、自社への影響も大きくなる可能性があります。

メールで送信するだけでなく、資料を持ち出したり、自社のデータを参考に副業先の提案を作成したりするケースにも注意が必要です。

一方で、業務を通じて身につけた一般的な知識や経験まで、当然に秘密情報として扱えるとは限りません。

何が秘密として管理されていたのか、本人がどの情報を扱ったのかを分けて確認することが重要です。

漏洩が疑われる場合は、推測だけで判断せず、本人の説明と社内で適切に確認できる記録を照らし合わせて事実関係を整理しましょう。

本業への影響

競業や情報漏洩がなくても、副業によって本来の勤務に支障が出ていれば、会社として対応を検討する必要があります。

厚生労働省のモデル就業規則でも、労務提供上の支障がある場合は、副業を禁止または制限できる例の一つとされています。

たとえば、副業による疲労で遅刻や欠勤が増えたり、勤務中の集中力が落ちたりしている場合は、具体的な影響を確認しましょう。

自社の就業時間中に副業の連絡や作業を行っていれば、勤務上の問題として別途確認が必要になることもあります。

ただし、副業をしているという理由だけで「本業に支障がある」と評価するのは適切ではありません。

勤怠や業務遂行の状況など、客観的に確認できる事実をもとに判断することが大切です。

長時間労働や健康への影響も含め、副業の時間と本業の状況を整理しておくと、必要な対応を検討しやすくなります。

会社への損害

副業への対応を判断するうえでは、自社にどのような不利益が生じているのかを具体的に確認することが欠かせません。

顧客の流出や取引機会の喪失、秘密情報の漏洩などが発生していれば、競合会社での副業との関係を調べる必要があります。

たとえば、自社で知った顧客へ競合先の商品を提案していた場合は、単に副業していたケースとは問題の性質が異なります。

一方で、「将来損害が出るかもしれない」という抽象的な懸念だけでは、本人の行為を正確に評価しにくくなります。

売上への影響、顧客との関係、情報の利用状況などを分けて整理し、副業との因果関係があるかを慎重に見ていきましょう。

厚生労働省も、競業によって企業の利益を害する場合などを、副業の禁止や制限を検討できるケースとして示しています。

処分を検討する段階では、損害の有無だけでなく、本人の行為や経緯、社内規定との関係まで含めて判断することが重要です。

副業の調査で避けるべき行為

私物端末を無断で見る

事実確認を急ぐあまり、本人が所有するスマートフォンやパソコンの中身を勝手に確認することは避けましょう。

私物端末には、家族とのやり取りや写真、金融情報など、業務とは関係のない個人情報が含まれている可能性があります。

競合会社との副業を疑う事情があっても、会社が私生活に関する情報まで自由に調べられるわけではありません。

端末が職場に置かれていた場合でも、本人の所有物であれば、会社支給端末と同じ感覚で確認するのは適切ではありません。

まずは副業届や公開情報、勤怠記録など、会社が正当に確認できる資料から事実関係を整理します。

情報漏洩まで疑われる場合は、自社システムのアクセス記録など、業務上必要な範囲で確認できる記録を優先するとよいでしょう。

それでも判断が難しい場合は、無理に私物へ調査を広げず、本人への聞き取りや専門家への相談につなげることが重要です。

私用アカウントへ無断でアクセスする

メールやSNSなどの私用アカウントについても、本人の許可なくログインして内容を確認する方法は避ける必要があります。

パスワードを偶然知っていたり、会社のパソコンにログイン状態が残っていたりしても、自由に閲覧してよいことにはなりません。

副業の確認に必要なのは、本人の私生活全般ではなく、自社の規定や利益に関係する事実です。

SNSを調べる場合は、誰でも閲覧できる公開投稿やプロフィールなど、一般に公開された範囲にとどめましょう。

非公開アカウントを見るために他人になりすましたり、第三者からログイン情報を入手したりするような方法も適切ではありません。

公開情報だけでは副業の事実を判断できなければ、その内容を材料として本人へ説明を求めるほうが安全です。

情報の入手方法そのものが問題にならないよう、確認手段にも十分な注意を払う必要があります。

必要以上に監視する

疑いがあるからといって、対象となる従業員の行動を際限なく追い続けることは適切ではありません。

社内でモニタリングを行う場合も、何を確認するための調査なのかを明確にし、必要な範囲に限定することが求められます。

個人情報保護委員会も、従業者をモニタリングする際は目的をあらかじめ特定し、社内規程や実施ルールを整備して従業者へ明示することなどを留意点として示しています。

たとえば、情報漏洩の疑いを確認するために社内システムの利用履歴を見る場合でも、関係のない期間やデータまで漫然と調べるのは避けましょう。

監視の対象や期間、確認する記録を事前に決めておけば、調査が必要以上に広がるのを防げます。

会社には情報を適切に管理する責任がありますが、そのための確認もリスクや目的に応じて行うことが大切です。

確認したい事実が明確になった時点で調査を区切り、必要に応じて本人への聞き取りへ移るとよいでしょう。

推測だけで副業を決めつける

競合会社との接点が見つかっても、それだけで副業をしていると断定することはできません。

公式サイトへの掲載やSNSでの交流には、過去の勤務歴や取引、知人関係など別の理由がある場合もあります。

さらに、副業の事実が確認できたとしても、それが直ちに就業規則違反や競業避止義務への抵触を意味するわけではありません。

厚生労働省は、副業・兼業について、秘密保持義務や競業避止義務などに支障がある場合には禁止や制限を検討できるという考え方を示しています。

そのため、「競合会社に関わっている」「届出がない」といった個別の事情だけではなく、仕事内容や自社への影響まで確認する必要があります。

本人の説明と副業届、公開情報、社内記録などを照らし合わせ、確認できた事実と推測を分けて整理しましょう。

早い段階で決めつけを避けることが、誤った処分や不要な労務トラブルを防ぐことにつながります。

競合会社での副業が判明したらどうする?

就業規則への抵触を確認する

副業の事実が分かっても、すぐに規則違反として扱わず、まず本人の行為と社内ルールを照らし合わせます。

確認したいのは、副業の届出や許可に関する規定だけでなく、競業、秘密保持、本業への支障などに関する定めです。

競合会社で働いていた場合も、会社名だけを見るのではなく、担当業務や取引先、自社との競合関係まで整理する必要があります。

たとえば、副業届を出していなかった事実だけで、直ちに重い処分が妥当になるとは限りません。

どの規定に抵触するのかに加え、実際にどの程度の問題が生じたのかを分けて確認しましょう。

社内ルールと具体的な行為を照らし合わせることで、その後に必要な対応を判断しやすくなります。

実害を確認する

次に、自社へ具体的な不利益が生じているかを確認します。

顧客情報や営業資料の漏洩、取引先への働きかけ、顧客の流出などがあれば、副業との関係を整理しておきましょう。

本業への影響についても、遅刻や欠勤の増加、業務品質の低下など、客観的に確認できる事実があるかを見ます。

一方で、「競合会社だから損害が出たはず」と推測するだけでは、適切な判断材料にはなりません。

発生した損害や時期、本人の業務との関係を整理し、副業とのつながりを具体的に確認することが重要です。

実害の程度が分かれば、注意や是正指導で済むのか、さらに対応が必要なのかを検討しやすくなります。

本人の説明を聞く

会社側で一定の事実を確認した後も、処分を決める前に本人の説明を聞くことが大切です。

副業を始めた時期や理由、担当業務、勤務時間、自社情報の利用状況などを順番に確認しましょう。

届出をしていなかった場合も、意図的に隠していたのか、手続きを理解していなかったのかで事情は異なります。

公開情報や社内記録と説明が食い違うときは、すぐに虚偽と決めつけず、違いが生じた理由を具体的に尋ねます。

聞き取りでは、日時や参加者、質問内容、本人の回答を記録し、後から認識のずれが生じないようにしておきましょう。

会社側の確認結果と本人の説明を照らし合わせ、事実関係を整理してから次の判断へ進むことが重要です。

処分の妥当性を検討する

違反が確認された場合でも、処分の内容は行為の程度や会社への影響に応じて慎重に決める必要があります。

無届の副業だったのか、競業による利益侵害や秘密情報の漏洩まであったのかでは、問題の重さが大きく異なります。

本人の役職や業務内容、違反の期間、故意の有無、過去の注意歴なども含めて検討しましょう。

軽微な手続き違反であれば、注意や申告のやり直しなど、是正を優先できるケースもあります。

一方、自社情報の持ち出しや顧客への不当な働きかけなどが確認された場合は、より慎重な対応が必要です。

懲戒処分や解雇を検討するときは、就業規則の根拠や手続き、処分の相当性を確認し、必要に応じて労働問題に詳しい弁護士へ相談しましょう。

競合会社での副業を防ぐ社内対策

副業ルールを明文化する

トラブルを減らすには、どのような副業を認め、どのような場合に制限するのかを従業員が理解できる状態にしておくことが大切です。

就業規則には、副業の申告方法に加え、本業への支障、秘密情報の漏洩、競業など、制限を検討する条件を具体的に定めておきましょう。

厚生労働省も、副業・兼業を原則として認めつつ、安全配慮義務や秘密保持義務、競業避止義務などに支障がある場合は制限できるルールを設ける考え方を示しています。

単に「競合会社での副業は禁止」とするだけでは、従業員が対象範囲を判断しにくくなります。

申告が必要なケースや確認する項目、違反時の対応まで整理しておけば、会社側も一貫した運用をしやすくなります。

ルールを作成した後は社内へ周知し、従業員が確認できる場所に掲載しておくことも重要です。

競合会社の範囲を決める

「競合会社」という言葉だけでは対象が曖昧になりやすいため、自社としてどこまでを競合と考えるのか整理しておきましょう。

同じ業種かどうかだけでなく、扱う商品やサービス、顧客層、営業地域、事業分野などを基準にすると判断しやすくなります。

たとえば、一部の事業だけが重なる企業まで全面的に禁止対象とすると、必要以上に副業を制限することにもなりかねません。

会社名を一覧化する方法もありますが、市場環境は変化するため、事業内容を基準にした考え方も併せて示すと運用しやすくなります。

特に営業、商品開発、技術など競業の影響を受けやすい職種については、想定されるリスクを具体的に整理しておくとよいでしょう。

競合の範囲を明確にしておけば、従業員も申告すべき副業を判断しやすくなり、会社側との認識のずれを防げます。

副業申告を定期化する

副業を始めるときだけ申告する仕組みでは、その後の勤務先や仕事内容の変更を会社が把握できないことがあります。

開始時の届出に加え、副業先や担当業務、契約形態などに変更があった場合は、改めて申告するルールを設けておきましょう。

年に一度など一定の時期に状況を確認する方法もあり、古い申告内容が残ったままになるのを防ぎやすくなります。

厚生労働省も、副業・兼業の内容を労働者の申告によって確認するための届出様式例を公開しています。

申告項目を増やしすぎると従業員の負担になるため、勤務先、業務内容、労働時間など、管理に必要な情報へ絞ることも大切です。

定期的な申告を習慣化すれば、副業を隠す・探し出すという関係ではなく、必要な情報を共有できる仕組みづくりにつながります。

営業秘密の管理を強化する

競合会社での副業によるリスクを抑えるには、副業ルールだけでなく、自社情報の管理体制を整えることも欠かせません。

顧客情報や価格、技術資料、営業計画など、外部へ持ち出してはいけない情報の範囲を従業員へ明確に伝えましょう。

厚生労働省のガイドラインでも、業務上の秘密となる情報の範囲を示し、漏洩しないよう注意喚起する方法が挙げられています。

情報ごとにアクセス権限を設定し、業務上必要な人だけが閲覧できる状態にしておけば、不必要な持ち出しのリスクも抑えられます。

USBメモリへの保存や私用クラウドへのアップロードなど、禁止する行為についても具体的なルールを設けておくと理解されやすくなります。

副業をしている従業員だけを対象にするのではなく、全社員に共通する情報管理の仕組みとして継続的に見直していくことが重要です。

まとめ

従業員が競合会社で副業している疑いがあっても、すぐに問題と決めつけるのは避けましょう。

まずは副業の事実を確認し、どのような仕事をしているのか、自社の情報を使っていないか、本業に影響が出ていないかを確かめます。

問題が見つかった場合も、その内容や程度によって取るべき対応は変わります。

会社だけで結論を出さず、本人の説明も聞いたうえで、必要な対応を選ぶことが大切です。

あわせて副業のルールや情報管理の方法を見直しておけば、同じような問題を防ぐための備えにもなります。

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