従業員の無断欠勤で連絡がつかないときの対応は?安否確認から退職判断まで会社が取るべき対処法

2026/08/10

従業員の無断欠勤で連絡がつかないときの対応は?安否確認から退職判断まで会社が取るべき対処法

従業員の無断欠勤で特に判断が難しいのは、連絡がつかない理由が分からないまま会社として対応しなければならないことです。

本人に何らかの事情がある可能性を考える一方、業務への影響が続けば、いつまでも状況が分かるのを待つわけにもいきません。

だからこそ、安否を確かめる段階と、その後の労務上の手続きを混同せず、状況に合わせて対応を進めることが重要です。

対応を急ぎすぎると退職や解雇をめぐるトラブルにつながるおそれがあり、反対に判断を先送りすると現場の負担が大きくなることもあります。

この記事では、従業員が無断欠勤し連絡がつかないときに、会社がどこまで確認し、どの段階で次の対応へ進めばよいのかを分かりやすく整理します。

無断欠勤で連絡が取れないときの対応方法

まず出勤状況を確認する

予定どおり出社していないことが分かっても、すぐに本人の問題だと決めつけるのは避けたほうがよいでしょう。

シフトや勤務予定、休暇申請、上司や同僚への連絡の有無を確認し、会社側で欠勤として扱うべき状況なのかを確かめます。

直行や外出、勤務場所の変更などがある職場では、担当者だけが予定を把握しているケースもあるため、関係部署にも確認しておくと行き違いを防げます。

本人が体調不良や事故などで連絡できない可能性もあるので、この段階では欠勤理由を推測せず、分かっている事実だけを整理することが大切です。

出勤予定時刻、確認した相手、勤務予定、社内で把握している最後の連絡などを記録しておけば、その後も連絡が取れない場合の対応を判断しやすくなります。

勤務状況を確認したうえで欠勤の事実が明らかになったら、できるだけ早く本人への連絡に移りましょう。

本人へ電話やメールで連絡する

欠勤が確認できたら、本人が会社へ届け出ている電話番号などを使い、速やかに連絡を試みます。

電話だけで終わらせず、メールや社内で通常使用している連絡手段も併用すると、本人が後から確認できる可能性が高まります。

メッセージには、出勤していないため状況を確認したいことや、確認後に会社へ連絡してほしいことを簡潔に記載し、強い口調で責任を追及する内容は避けましょう。

連絡がない背景には、単なる寝過ごしだけでなく、急病や事故、心身の不調など、自分から連絡することが難しい事情が隠れていることもあります。

厚生労働省の事例でも、欠勤した本人と連絡が取れない状態では、単に連絡を待ち続けるのではなく、命や安否を優先して早めに行動することが望ましいとされています。

何度連絡しても応答がなく普段の様子と比べても異変が疑われる場合は、次の段階として緊急連絡先への連絡などを検討できるよう準備を進めます。

連絡履歴を残しておく

本人への連絡を始めた時点から、会社がどのような対応をしたのか客観的に確認できる形で記録しておくことが重要です。

電話をかけた日時、回数、使用した電話番号、メールなどを送った日時や内容、本人から返信があった場合はその内容まで時系列で整理しておきましょう。

担当者ごとに対応すると連絡状況が分からなくなりやすいため、人事や上司など管理する窓口を決め、一つの記録にまとめておくとその後の判断がしやすくなります。

記録を残す目的は欠勤した本人を一方的に責めることではなく、会社が安否確認や出勤確認のためにどのような手段を取ったのかを明確にすることです。

無断欠勤が長期化すると、出勤を求める通知や就業規則に基づく処分などを検討する場面もあるため、それまでの経過を正確に把握できる資料が役立ちます。

厚生労働省も、本人と連絡が取れない状態では緊急連絡先への連絡や自宅訪問など、状況に応じて段階的に対応することを示しているため、次の手段へ移る際にもそれまでの経過を整理しておくとよいでしょう。

連絡が取れない場合の安否確認

緊急連絡先へ連絡する

電話やメールを何度か試しても反応がない場合は、本人から届け出を受けている緊急連絡先への連絡を検討します。

厚生労働省の「こころの耳」でも、欠勤後に本人と連絡が取れなくなったケースでは、待つだけでなく緊急連絡先への連絡や自宅訪問などを行うことが望ましいとされています。

家族などへ連絡する際は、勤務上の詳しい事情を必要以上に伝えるのではなく、「出勤予定ですが連絡が取れないため、安否を確認したい」と目的を簡潔に説明するとよいでしょう。

本人のプライバシーに関わる情報をむやみに共有せず、安否確認に必要な範囲でやり取りすることも大切です。

可能であれば、緊急連絡先へ連絡する前に、本人の電話やメールへ「連絡が取れないため、緊急連絡先へ確認する予定です」とメッセージを残しておきます。

厚生労働省の事例でも、緊急連絡先への連絡や自宅訪問を行う際には、事前に本人へその旨を知らせるメッセージを残す方法が示されています。

自宅訪問を検討する

緊急連絡先からも状況が分からず、普段と比べて明らかな異変がある場合には、自宅での安否確認も選択肢になります。

特に一人暮らしで連絡が途絶えているケースでは、急病や事故などによって本人が助けを求められない可能性も考慮する必要があります。

厚生労働省も、本人の命を守る観点から、連絡がない状態では待ち続けず、一人暮らしの場合にはより速やかな対応が求められるとしています。

訪問する場合は、可能であれば複数人で向かい、訪問日時や担当者、呼びかけへの反応などを記録しておくと、その後の対応を整理しやすくなります。

一方、会社が安否確認を目的として訪問したとしても、本人の承諾なく室内へ立ち入るような行為は避けなければなりません。

呼び鈴や電話にも反応せず、室内で倒れていることが疑われるなど緊急性が高い場合は、会社だけで解決しようとせず、警察や消防など適切な機関への連絡を検討します。

必要に応じて警察へ相談する

事故や事件に巻き込まれた可能性がある、生命や身体に危険が生じているおそれがあるなど、通常の欠勤とは異なる事情が見られる場合は警察への相談を検討します。

単に会社からの連絡に応じないという理由だけで決めつけるのではなく、本人の普段の様子や最後に確認できた日時、家族から得られた情報などを踏まえて緊急性を判断することが重要です。

警察庁では、各都道府県警察が行方不明者に関する情報提供や対応を行っており、行方が分からないケースでは地域を管轄する警察への相談につながる場合があります。

相談する際は、氏名や年齢、自宅住所、最後に連絡が取れた日時、欠勤が始まった時期、会社が試した連絡手段など、把握している事実を整理して伝えます。

緊急性が高いと考えられる場面では、「何日経過したら相談する」と一律に待つのではなく、現在の状況を基に早めに判断することが大切です。

会社としては欠勤に対する処分を急ぐより、まず本人の安全を確認し、その経過を記録したうえで次の労務対応へ進むのが適切です。

無断欠勤が続く場合の会社対

就業規則を確認する

本人と連絡が取れない状態が続いても、欠勤日数だけを理由にすぐ処分を決めるのではなく、まず社内で定めているルールを確認します。

特に無断欠勤、懲戒処分、退職に関する規定は、その後の判断に直接関わるため、適用条件や手続きを一つずつ照らし合わせることが重要です。

懲戒を行う場合は、あらかじめ就業規則に懲戒の種類や事由を定め、労働者へ周知していることが求められます。

無断欠勤の規定

欠勤時の連絡方法や申請期限、無断欠勤と判断する条件などが定められているか確認します。

社内ルールが明確であれば、本人がどの規定に反しているのかを客観的に整理しやすくなります。

一方で、単に連絡がないという事実だけでは、急病や事故など本人が連絡できなかった事情を把握できていない可能性があります。

後からやむを得ない理由が判明するケースも考慮し、安否確認や連絡の経過も含めて判断することが大切です。

懲戒処分の規定

無断欠勤を懲戒の対象としている場合は、どのような行為に対してどの処分を適用できるのかを確認します。

厚生労働省の関連資料でも、懲戒を行うには、その種類や事由をあらかじめ就業規則に定めておく必要があるとされています。

規定があるからといって、無断欠勤が発生した時点で直ちに重い処分が認められるとは限りません。

欠勤期間や本人の事情、これまでの勤務状況、会社からの連絡や指導の経過などを確認し、処分の内容が妥当か慎重に検討します。

自然退職の規定

就業規則に一定期間の欠勤や音信不通を退職事由とする定めがある場合は、条件や手続きの内容を確認します。

ただし、「一定日数を欠勤したから自動的に退職」と機械的に処理すると、本人の意思や欠勤理由を十分に確認していなかったとしてトラブルにつながるおそれがあります。

自然退職の規定を適用する場合でも、それまでに本人への連絡や安否確認、出勤を求める通知などを行い、その経過を記録しておくことが重要です。

規定の適用に迷う場合や雇用契約を終了させる判断が必要な場合は、社会保険労務士や弁護士などの専門家への相談も検討するとよいでしょう。

出勤を求める通知を送る

電話やメールへの反応がない状態が続く場合は、会社として出勤や連絡を求めていることを、書面で明確に伝える方法があります。

書面には無断欠勤が始まった日、これまで連絡を試みた経過、会社へ連絡してほしい期限、出勤できない場合は事情を説明してほしいことなどを具体的に記載します。

後から通知した事実や内容を確認できるよう、送付した書面の写しや郵便の記録を保管し、電話やメールの履歴とあわせて時系列で整理しておくとよいでしょう。

この段階でも退職したものと決めつける表現は避け、本人から事情や意思を確認できる機会を残したうえで、段階的に対応を進めます。

欠勤中の給与を処理する

実際に働いていない欠勤時間については、原則としてその部分の賃金を支払わない「ノーワーク・ノーペイ」の考え方に基づいて処理できます。

ただし、欠勤した時間に対応する額を超えて賃金を差し引くと、単なる欠勤控除ではなく減給の制裁に当たる可能性があるため注意が必要です。

月給制の場合は、就業規則や賃金規程に定めた計算方法を確認し、欠勤日数や時間数に応じて一貫した方法で処理します。

後になって年次有給休暇や会社独自の休暇制度を適用できる事情が判明する可能性もあるため、欠勤理由が不明な段階では記録を残し、事情が確認できた時点で必要な修正を検討しましょう。

連絡が取れない従業員は退職扱いにできる?

自然退職にできる条件

本人と音信不通になったからといって、それだけで自己都合による退職が成立したと判断するのは避ける必要があります。

労働者からの退職は本人の自発的な意思表示に基づくものであり、会社側が連絡の取れない状態を退職意思とみなす場合には慎重な対応が求められます。

就業規則に「一定期間の無断欠勤や所在不明が続いた場合は自然退職とする」といった規定がある場合は、その内容や適用条件を確認します。

ただし、規定がある場合でも、欠勤の原因や本人が連絡できない事情を確認せず、形式的に雇用契約を終了させるとトラブルにつながるおそれがあります。

電話やメール、緊急連絡先への確認、書面による通知など、会社が本人との接触を試みた経過を記録したうえで判断することが重要です。

自然退職として扱えるか判断が難しいケースでは、就業規則だけで結論を出さず、社会保険労務士や弁護士などへ確認すると安心です。

解雇を検討できる条件

長期間にわたって正当な理由なく欠勤を続け、会社からの連絡や出勤要請にも応じない場合には、解雇を検討する場面があります。

もっとも、就業規則に無断欠勤を解雇事由として定めているだけで、必ず解雇が有効になるわけではありません。

労働契約法第16条では、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない解雇は権利の濫用として無効になるとされています。

そのため、欠勤期間や理由、これまでの勤務状況、会社から行った連絡や指導、本人に弁明する機会があったかなど、個別の事情を踏まえて検討する必要があります。

解雇する場合は原則として30日前に予告するか、予告しない場合には30日分以上の平均賃金に相当する解雇予告手当を支払うルールにも注意が必要です。

特に懲戒解雇など重い処分を検討する場合は、不当解雇をめぐる労働問題へ発展するリスクもあるため、事前に専門家へ相談したうえで手続きを進めるのが安全です。

本人の退職意思を確認する

連絡が取れるようになった場合は、欠勤理由だけでなく、今後も勤務を続ける意思があるのかを本人から直接確認します。

退職を希望しているのであれば、退職日や手続きについて話し合い、本人の意思が分かる書面などを残しておくと後の認識違いを防ぎやすくなります。

一方、「連絡がなかったので退職するつもりだったはず」と会社側だけで推測し、自己都合退職として処理することは適切ではありません。

厚生労働省の資料でも、退職の意思表示は労働者自身の自発的な意思に基づく必要があると示されています。

本人が復職を希望する場合は、欠勤に至った事情を確認し、就業規則に沿って欠勤の取扱いや必要な指導を検討します。

退職意思を確認できないまま雇用関係を終了させる必要がある場合は、自然退職や解雇のどちらとして扱うべきかを含め、会社だけで判断せず慎重に手続きを進めましょう。

無断欠勤を防ぐための社内対策

就業規則にルールを定める

欠勤時の連絡方法が曖昧なままだと、従業員ごとに認識が異なり、会社側も無断欠勤かどうかを判断しにくくなります。

就業規則や社内規程には、欠勤や遅刻をする場合の連絡先、連絡手段、連絡する時期などを具体的に定めておくとよいでしょう。

あわせて、正当な理由なく連絡せず欠勤した場合の取扱いや、無断欠勤が続いた場合の対応についても明確にしておくことが重要です。

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が必要とされています。

ルールを設けるだけでなく、入社時や規程変更時に内容を説明し、従業員が確認できる状態にしておくことも欠かせません。

連絡方法を誰でも理解できる形に整えておけば、欠勤時の行き違いを減らし、問題が発生した際も社内で一貫した対応を取りやすくなります。

緊急連絡先を定期更新する

本人と連絡が取れない場面に備えるには、入社時に登録した緊急連絡先をそのままにせず、定期的に確認することが大切です。

引っ越しや家族構成の変化などによって、以前登録した電話番号が使えなくなっているケースもあります。

年に一度など社内で確認する時期を決め、変更があれば従業員から届け出てもらう仕組みにしておくと管理しやすくなります。

緊急連絡先は安否確認など必要な場面で使用する情報であることを伝え、利用目的を明確にしたうえで適切に管理する必要があります。

個人情報保護委員会は、個人情報を取り扱う際には利用目的をできる限り特定し、その範囲を超えて利用する場合には原則として本人の同意が必要だとしています。

連絡先の更新と情報管理を継続しておけば、急な音信不通が発生した場合でも、安否確認に移るまでの時間を短縮しやすくなります。

欠勤時の対応を社内で統一する

無断欠勤が発生するたびに担当者の判断で対応すると、連絡回数や安否確認の方法にばらつきが生じる可能性があります。

欠勤を確認した後は、本人への電話やメール、緊急連絡先への確認、書面の送付など、状況に応じた手順をあらかじめ決めておくとよいでしょう。

誰が本人へ連絡し、どの段階で人事や経営者へ報告するのかまで明確にしておけば、対応の遅れや連絡の重複も防ぎやすくなります。

本人の安全が疑われる場合は通常の労務対応より安否確認を優先するなど、緊急時の判断基準も共有しておくことが大切です。

あわせて、電話した日時や送信したメール、本人や家族から聞いた内容を記録する書式を決めておけば、その後の処分や手続きを検討するときにも事実関係を確認しやすくなります。

担当者が変わっても同じ流れで対応できる体制を整えることが、無断欠勤をめぐるトラブルの防止と適切な労務管理につながります。

まとめ

無断欠勤があった場合は、まず「何か事情があって連絡が取れないのかもしれない」という前提で、安否確認と労務対応を分けて考えながら、落ち着いて段階的に対応することが大切です。

最初の対応としては、電話やメールでの連絡に加え、状況に応じて緊急連絡先への確認や自宅訪問なども行い、まずは本人の無事や状況の把握を優先します。

それでも出勤や連絡がない場合は、就業規則やこれまでのやり取りを確認しながら、欠勤の扱い・給与の取り扱い・出勤の呼びかけなどを整理し、無理のない形で対応を進めていきます。

退職や解雇といった判断が必要になる場合でも、会社側の一方的な判断ではなく、これまでの経緯や本人の事情を踏まえ、慎重に検討することが重要です。

あらかじめ社内で対応の流れや連絡体制を整えておくことで、いざというときにも落ち着いて対応でき、労務トラブルの予防にもつながります。

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